Dead To The Core : An Almanac of the Grateful Dead
Dead To The Core :An Almanac of the Grateful Dead
Author: Eric F. Wybenga
ブレアー・ジャクソンの"Goin' Down The Road"をオフィシャル寄りのファン本とすれば、こちらはアンオフィシャルなファン本と言ったところ。
バンドの写真もなければ、インタビューも無し。各ショーのセットリストも、ディスコグラフィも無しという徹底振り。一人のファンが手持ちの資料とテープを駆使してデッドの過去のショーをレビューし、各年の意義やそれが後にどう影響していったかを一人きりで延々と語るという、これまでありそうで無かった書籍。
全てが主観的で客観性が無いという点では資料性は限りなくゼロに近いが、突飛な意見は少なく、実に手堅く説得力のある説明なので、(それが若干くど過ぎる時もあるが)、読んでいて共感できる部分は多い。
中途半端にファン度が増すほどに、デッドに関する意見は極端になりがちだが、この本ではあくまで慎重で、いわゆる「それはちょっと」という極論は少ない。
誰もが一度は自前で作りかけた「デッドノート」の完成形がここにある、とまで言ったら誉めすぎだろうが、しかし労作である。
ただ、ショーレビューとセットリストについてはTCシリーズが完備されているため、前述したように資料度としては価値はあまりないだろう。個人的には、このお手製風の徹底振りは好きだが、それにしてもこの本、売れなかっただろうなあ(笑)。
ちなみに、"The Taper's Compendium - Volume 2"の中で、87年のデッドとディランのリハーサル音源について、寄稿しているのはこの著者である。