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Deadheads: Stories from Fellow Artists, Friends, and Followers of the Grateful Dead

Deadheads: Stories from Fellow Artists, Friends, and Followers of the Grateful Dead

Author: Linda Kelly

DeadHeadという種族がいる。

その頂点には(あるいは最底辺か?)Grateful Deadを愛するあまり、その人生のすべてをかけ、彼らの活動を追い続けるヘビーな人たちがいる。その対極には、ビジネスデーは高級エリートとして、そして週末やショーの時間だけ、その衣装をタイダイに着替えて、パートタイムに彼らのショーを楽しむ人たちがいる。その人種の幅、年齢の幅は限りなく広い。

本書は、そうした多くのDeadHeadsたちとのインタビューを章ごとにまとめ上げたなかなかの力作である。インタビューの対象は一般のファン、関係者、親族、その友人、同業のミュージシャンたちにまで至る。

各章は「関わりを持つ」「チケットを手にいれる」「入り込む」「ハイになる」「ぶち込まれる」「ステージに上がる」「離脱する」「終わらせる」といったふうに、少しずつ段階が進んでいくようになっている。何より面白いのは、DeadHeadから足を洗った元ファンのためにも、きちんと章が充てられていることだ。

人はいかにしてDeadHeadになっていくのか?、DeadHeadであり続けることはどういうことか?、どうしたきっかけでDeadHeadを辞めてしまうのか?、そしてもちろん、どうして辞めずにいられるのか?

Robert Greenfieldの"Dark Star"は、ジェリー・ガルシアという一人の人間を、多くの関係者の証言によって、浮き彫りにしようという書籍だった。本書はその対象をDeadHeadsに向け、それぞれに自分たちの過去・現在・未来について語ってもらうという面白い試みがなされている。

資料度としては、かなり点は低いが、雑誌の「読者の声」ページだと思えば、その感じは伝わるだろうか。そんなの面白いの?と聞かれれば、「あなたがDeadHeadならば」とだけお伝えしておきたい。