本は読め読め

音楽好きの読書と買い物メモ

The Grateful Dead Family Album

The Grateful Dead Family Album

Author: Jerilyn Lee Brandelius

発売は89年と古いが、資料度としてはかなりポイントの高い1冊。
一言で言えば「雑記帳」もしくは「スクラップブック」のような構成で、全体のチープさのわりには、読み込むほどに発見の多い書籍でもある。

意外にも(意図的に?)これまで多くを語られてこなかったエジプトツアーについても、かなり詳しく記載されており、この本の充実ぶりというか、一種の偏狭さには感心させられる。また先ごろめでたくDVD化され、映画の興行も行われた"Festival Express"についての記述や、この書籍でしかお目にかかれないその時の写真があって、まったく誰が誰のために出した書籍なのか?と、しばし途方に暮れるほどの驚きが詰まっているのも事実。

チープな印刷ながらも、全ページカラーで、珍しい写真も多いのでお勧め。ただ、一読しても何の話だか結局分からないページも沢山あるので(笑)、自分のマニア度を確認する上でも、結構手ごわい書籍かもしれない。

A Box of Rain Lyrics: 1965-1993

A Box of Rain Lyrics: 1965-1993

Author: Robert Hunter

デッド作品を中心としたロバート・ハンターの詩集。

ここまでインターネットが発達してしまった今となっては、「資料的に持っていなければ」というほどの必要性は無いと思う。しかし一部の歌詞でコメントが記されていたり、テラピン・ステーションのように、デッドの曲として使われているのは詩作の一部であるという作品では、その全体像を知るためにも入手しておいても損はないだろう。

あくまでも詩集という体裁を取るため、写真などは無い。そういう意味では地味な書籍だが、「本」という形で読むことでこそ安心感が得られることも事実だと思う。
個人的には、ちょっとした空き時間に、パラパラめくるようにしている一冊。

Book Of The Dead : Celebrating 25 Years with the Grateful Dead

Book Of The Dead : Celebrating 25 Years with the Grateful Dead

Author: Herb Greene

写真家Herb Greeneによる、デッド25周年の記念写真集。白黒の写真が中心だが、どれもどこかで見たことのある有名な(いわゆるポートレート風の)写真が多い。

プロの写真家が撮るとこうなる、と言わんばかりの綺麗な仕上がりの写真が多いが、個人的にはすっきりした写真が多すぎて、逆に何かが足りないようにも感じてしまいます(贅沢な話ですが)。

それにしてもジェリーと共に写ったマウンテンガールのなんと可愛らしいこと。ジェリーの死後、テレビの裁判番組でちらりと見せたその変わりようには、まったく「うーむ」という言葉しか出てきません。

Wisdom of Jerry Garcia

Wisdom of Jerry Garcia

Author: ?

おそらく,ここでとりあげた本の中で最も「買ってはいけない」本だろう。

体裁はジェリー・ガルシアのインタビューの中から名言を取り上げたということになっているが,その元発言がどのインタビューであるか、前後の文脈に即した引用であったか、などが一切不明であり,資料として信憑性に欠ける。第一、作者(編者)の名前がどこにも書いてないというのは論外である。

しかし,何よりも最大の問題は,対象物であるジェリー・ガルシアに対する愛情がこれっぽっちも感じられないことである。本の作りも異様に安っぽいもので,ジェリーの死に便乗した書籍であることは間違いないだろう。繰り返しになるが,本当に買ってはいけない。ただの駄本である。

Goin' Down The Road : A Grateful Dead Traveling Companion

Goin' Down The Road : A Grateful Dead Traveling Companion

Author: Blair Jackson

発売は92年。
メンバー全員へのインタビューを中心に(何故かブレントのみ未収録、代わりのようにドナ(!)とロバート・ハンターへのインタビューが収録されている)、ニール・キャサディに関する記事(表題「カウボーイ・ニールとは一体何者だったのか」)、デッドのカバーソングの全曲ルーツ解説、お勧めのテープとショーの日時などなど、かなり充実した内容。

いつも思うが、ブレア・ジャクソンの質問は的を得ていて読んでいても楽しい。「そうそう、そういう質問して欲しかった」という箇所に何度も出くわしたのが嬉しい(単に自分と似ているだけ?)。
ただ、どんなにつっこんだ質問をしていても(例えばドナに対して、「バンドを辞めた理由はあなたが音を外しすぎるからとフィルが言っていたが?」、「結果として自分たちから辞めたのか、辞めさせられたのか?」という強烈な質問など)、その質問が芸能記事のような、下世話な感を読み手に与えないのは、ひとえにデッドに対する愛情の深さと、膨大な知識のおかげだろう。まったくもって安心して読んでいられる一冊。

Dead To The Core : An Almanac of the Grateful Dead

Dead To The Core :An Almanac of the Grateful Dead

Author: Eric F. Wybenga

ブレアー・ジャクソンの"Goin' Down The Road"をオフィシャル寄りのファン本とすれば、こちらはアンオフィシャルなファン本と言ったところ。

バンドの写真もなければ、インタビューも無し。各ショーのセットリストも、ディスコグラフィも無しという徹底振り。一人のファンが手持ちの資料とテープを駆使してデッドの過去のショーをレビューし、各年の意義やそれが後にどう影響していったかを一人きりで延々と語るという、これまでありそうで無かった書籍。

全てが主観的で客観性が無いという点では資料性は限りなくゼロに近いが、突飛な意見は少なく、実に手堅く説得力のある説明なので、(それが若干くど過ぎる時もあるが)、読んでいて共感できる部分は多い。

中途半端にファン度が増すほどに、デッドに関する意見は極端になりがちだが、この本ではあくまで慎重で、いわゆる「それはちょっと」という極論は少ない。

誰もが一度は自前で作りかけた「デッドノート」の完成形がここにある、とまで言ったら誉めすぎだろうが、しかし労作である。
ただ、ショーレビューとセットリストについてはTCシリーズが完備されているため、前述したように資料度としては価値はあまりないだろう。個人的には、このお手製風の徹底振りは好きだが、それにしてもこの本、売れなかっただろうなあ(笑)。

ちなみに、"The Taper's Compendium - Volume 2"の中で、87年のデッドとディランのリハーサル音源について、寄稿しているのはこの著者である。

Jerry Garcia

Jerry Garcia

Author: Patricia Cronin Marcello

一片10センチ程度の(ミニチュア絵本のような)全ページカラーの書籍。

正直なところ、買った時に一度だけ読んだきりなので、何のための書籍で何が書いてあるのか、すっかり忘れていたが、このサイズにしては珍しいことに、比較的ストレートなガルシアのバイオ本。

本のサイズとは関係なく、字の大きさが普通のフォントサイズということで、割に読みやすい。ただ当然ながら情報量はかなり少なくなっている。

資料的にはほとんど価値はないが、僕はこの本から作者の想いのようなものを感じさせられた。
資料・読み物という点から評価はかなり低くしたが、何かの折りに買って上げて、本棚の一角に飾っておいて欲しい一冊でもあります。