本は読め読め

音楽好きの読書と買い物メモ

斉藤和義 の Gibson J-45の簡単な見分け方

この記事は2013年04月の時点の話です。特に年月日を記述していない部分は、その時点の話ですのでよろしくお願いします。


黒のアコースティックギターギブソン社のJ-45と言えば、もはや斉藤和義の代名詞のようになっていますね。で、実際には、斉藤さん自身、黒のJ-45を複数本、所有されています。
まあ、ファンの間ではこの辺り、一般常識なのですが、意外にも、見分け方をご存じない方が多いようなので、ここで簡単な見分け方を伝授します。

ポイントさえ分かってしまえば、友人や恋人と動画を見ている時に、「ああこれ3号機だわ、へ~、ここで2号機に持ち替えるんだ」と、通ぶった発言が出来るようになります。
まあ、あんまりやると、嫌われるかもしれませんが(笑)。


1号機(68年製)


デビューした93年に購入。当初は自分の生まれ年と同じ66年製と思っていたが、後に68年製であることが判名。シリアルNoは955744。

では、クローズアップ画像を見てみましょう。




これは、2004年4月リリースの「青春ブルース」の初回特典DVDの映像からです。
この写真から以下の事がわかりますね。
(1)ピックガードがネジ止めされている。
(2)サウンドホール周りのライン(「ロゼッタ」と言います)が2重。
(3)ブリッジの真っ直ぐな面がサウンドホール側にある(「ボトムベリーブリッジ」と言います)。
(4)ブリッジはアジャスタブル仕様でサドルが黒(ベタ置き)。

このうち、(1)、(3)、(4)は1号機だけの特長です。

え?専門用語が多すぎてよく分からない?
まあ、サウンドホール(丸く空いた穴の部分)とピックガード(白い部分)は分かりますよね。
アジャスタブルブリッジとサドルは、下記のリンクを参照してください。


サドルとは:【デジマート】初心者のためのアコースティックギター用語辞典


アジャスタブルとは:【デジマート】初心者のためのアコースティックギター用語辞典


一般的に、アジャスタブルは弦高調整が容易な反面、サドルが宙に浮いた状態になるため、サスティンが弱いと言われています(何を言ってるかよく分からないって?もうね、これはこのまま丸暗記しましょう。呪文のように5回唱えれば覚えられますから。「アジャスタブルはサスティンが弱い」「アジャスタブルはサスティンが弱い」....)。
まあその辺りのサウンド面を考慮して、サドルをベタ置きにしているのかもしれませんね。

なお、かなり大事に扱われているようで、ボディへの加工を避けるために、内蔵のピックアップが取り付けられていた時でさえ、ブリッジ側のストラップピンを加工しないタイプのピックアップが付けられていました。
現在は、それらも取り外されているようです。

ライブ会場で目にすることはなくなりましたが、一応、今も現役で、2011年4月のUstreamライブでも使われていますね。


2号機(96年製)


みんな付いてきてるかな?そろそろ2号機の話をするよ。

1号機の影武者(予備機)として96年頃に購入されました。一部の資料(月刊GuitarMagazine誌)などでは、95年製と書かれていて、どうも情報が錯綜していますが、コンサートパンフの本人の解説、シリアルNoから、ここでは96年製と解釈しておきます。シリアルNoは90346006。

ではYouTubeの動画はいつの間にか削除されたので、画面のスナップショットを見ましょう。




これは、メンバーから判断するに、「俺達のロックンロールツアー」2006年頃のライブかな?(ちょっと自信なし)。
2号機の特長は以下の通りです。
(1)ピックガードがネジ止めされていない。
(2)サウンドホール周りのライン(「ロゼッタ」ですね)が1重。
(3)ブリッジの真っ直ぐな面がサウンドホールと反対側にある。(「アッパーベリーブリッジ」だったかな)
(4)ブリッジは通常タイプでサドルは白。

もともとはサンバーストカラーだったものを、ブラックにリフィニッシュ(再塗装)したものと言われていますが、さすがに動画からは判断できないですね。ボディバック(裏側)の塗装が剥がれた辺りにサンバーストカラーが確認出来るそうです。

ここでは、(2)が2号機だけの特長です。
あと2号機には、サウンドホールの上(ネックを12時方向とした時の11時付近)に大きめの傷があります。照明の反射と紛らわしいですが、以下の写真で傷の位置が確認できます。





2012年現在。かなり傷は大きくなってますね。


ついでに2号機を演奏している動画をもう一つ。こちらは97年の「歌えなまけものツアー」から。
さすが入手間もない頃なので、傷も無く、角度によってはすごく新しく見えますね。→ YouTube動画は削除されたようです。


3号機(2003年製)


さて、みんな寝ないで聞いてるかな?とりあえず、これで最後だからね。最後はすごく簡単だよ。

3号機は大阪の三木楽器から進呈されたもの。一部の資料(月刊GuitarMagazine誌)などでは、2001年製と書かれていて、これまた情報が錯綜していますが、コンサートパンフの本人の解説から、ここでは2003年製と解釈しておきます。シリアルNoは不明です。




これは、LIVE TOUR 2008 歌うたい15<16の映像から。

3号機の特長は以下の通りです。
(1)ピックガードにGibsonのロゴあり。ネジ止めされていない。
(2)サウンドホール周りのライン(「ロゼッタ」)が2重。
(3)ブリッジの真っ直ぐな面がサウンドホールと反対側にある。(「アッパーベリーブリッジ」)
(4)ブリッジは通常タイプでサドルは白。

ここでは、(1)が3号機だけの特長ですね。でもこれはわかりやすい。

そういえば、1号機の時に見た、「青春ブルース」の初回特典DVDで、3号機も使われていますね。
画像だけ、以下に貼っておきますが、あの映像は1号機と3号機の形状や音色が比較できて、なかなか楽しい映像です。難点は斉藤さんの左手の位置に大きめのマイクが置かれていて、演奏中はほとんど左手が見えないことかな。



3号機


オマケ


Fire Dog発売後の「お待ちなさいツアー」の時に、黒ボディの白ピックガードのギターを弾いていた映像があるのですが、あれがJ-45をライブで使い始めた頃かな?ということが気になったので探してみました。これがその時の映像です。



レノンの夢〜一人よがり
いやいや若いなあ。96年頃の映像。確か「スペースシャワーTV」の映像ですね、これ。


結論から言いますと、これはK.ヤイリ製で、彼らが海外で販売するときに使用しているブランド「Alvarez」のロゴが入っているタイプですね。型番は不明です。
なお、トリビア的についでに語っておくと(笑)、この次の「歌えなまけものツアー」では、もう一本の「Alvarez」ロゴの入ったゴールドトップのギターが「印象に残る季節」で使用されています。こちらの型番は「Alvarez Yairi YD-91」です。 (YouTube動画は削除されたようです)


最後に


さて、ここまでご理解いただけましたでしょうか? 非常に簡単ですね。動画だと(右手が邪魔で)ブリッジの形状は見分けにくいですが、ロゼッタやピックガードのロゴなどから、意外に簡単に1~3号機が見分けられるはずですね。

え?質問ですか?はいどうぞ。 4号機と5号機はどうなったか? 
う~ん、その話ですか。分かりました。ではその辺も簡単に触れておきましょう。


4号機、5号機の話。(※この件、追加情報あります)


去年(2012年)、斉藤さん本人がインタビューで4号機、5号機の存在を話しています。しかし、各種の雑誌記事などで、その存在がきちんと説明されているものは、今のところありません(ないはずです、あったらゴメンナサイ)。

一応、存在が確認されているJ-45として、チェリーサンバーストの65年製があります(一部の雑誌では64年製と書かれていますが、シリアルから判断するにおそらく65年製でしょう)。これは「I Love Meツアー」か、「LIVE TOUR 2008 歌うたい15<16」で使用されており、DVDでも確認出来たはずです。雑誌にも紹介されています。ただ、これが4号機、5号機のいずれかなのか?それとも全く別の4号機、5号機が他にあるのか?は、現時点で不明です。

ついでに補足しておきます。

ギブソン社から黒のJ-45タイプの斉藤和義モデルが出ることは随分前から発表されていました。
昨年(2012年)の年末から今年の春頃にかけて、既にプロトタイプが斉藤さん本人に渡っているという確実な情報もありますし(何本手渡されたかは不明)、実際、年末(2012年)の紅白歌合戦でそれが使われている様子も確認されています(ヘッド部に「Kazuyoshi Saito」のロゴが入っていました。スペック的には1号機と同じプリッジ形状とロゼッタでした)。

ただ、この辺りは混乱を避けるためにも、現時点ではスルーしておきます。

どうでしょう?ここまで読んで、お友達との会食やお酒の席で、「やっぱ、アッパーベリーブリッジってさ、使い勝手的にどうよ?」といっぱしのミュージシャン気取りの発言が出来るようになれそうですか? まあ、あんまりやると確実に嫌われるので、注意してくださいね。あくまでもホドホドに。

では、私からは以上です。
本文中に間違いがありましたら、ご指摘願います。


(※2013年10月追記)
今月発売のギターマガジン(2013年11月号)の巻頭特集「斉藤和義」の中で、編集部の解説記事として、J-45のプロトタイプを「6号機」としていました。ただ、本文中のインタビューでは、4号機、5号機については、まったく触れられていないので、やはり依然として、謎のままですね。


4号機、5号機に関する追記(2013年11月記す)


月刊Player誌、2013年12月号にて4号機以降の話がありましたので、追記しておきます。

4号機:「使っていたギターの調子が悪くなってしまった際にギブソンから入手した2012年製の4号機。このギターにはアジャスタブルサドルが組み込まれていて、そのトーンが気に入っていると語っている(同誌面上に写真あり)。サウンドホールに付けられているのは小型マイクとマグネティック・ピックアップが組み合わされたフィッシュマンのレア・アース・ブレンド

5号機:「最初はピュア・ボイスに更に改良を加えたPUを薦められたんです。それが搭載されているのが最初のプロトタイプ、5号機と呼んでいるんです(紅白歌合戦などで使用)」

6号機:「ギブソンからシグネチャー・モデルの話が持ち上がった際に作られた2本目のプロトタイプが6号機(同誌面上に写真あり)。(中略)ヘッドストック・フェイスにはサインが入っている。ピックアップはLRバッグスのアンセムサウンドボード裏側のブリッジ・プレートに取り付けられている」

7号機:「取材当日、斉藤に手渡されたシグネチャーモデル(同誌面上に写真あり)。これにはLRバッグスのアンセムが組み込まれる予定だったが、発売直前に2号機、3号機にも搭載されているフィッシュマンのエリプス・マトリック・ブレンドへと変更された。市販モデルの1本めとなる通称7号機。(中略)また、6号機とは異なり、"Kazuyoshi Saitoh MODEL"のサインはトラスロッド・カバーへと移動された。その理由について斉藤は『自分を知らなくても、ギターを気に入って使ってくれたら嬉しいと思ったから』と語っている」


追記(シグネチャーモデルの件)


2013年8月25日、ギブソン社からシグネチャーモデルの発売が正式に発表されました。
定価はおおよそ50万円。限定200本だそうです。

仕様の珍しさからいえば、妥当な価格なのかなあ。うーん、悩ましい。


ギブソン・アコースティック初の日本人アーティストモデル「Kazuyoshi Saito J-45」販売決定!! | KAZUYOSHI SAITO OFFICIAL WEB SITE


GIBSON ACOUSTIC Kazuyoshi Saito J-45 - Music Radar Blog
シグネチャーモデルの詳細解説記事。
いろいろ発見がありますね。ピッグガードのネジ止めはダミーだとか、ネックは極太になっているとか、ピックアップ付きとか。あと、意外だったのは、プロトではヘッド部に刻まれていた「Saito Kazuyoshi」の文字が、プレートの上に変更になったことですね。50万円かあ。悩ましい。


関連まとめ


斉藤和義 ギターマニアと見るオフィシャル映像のあれこれ(1) - NAVER まとめ